野墓地とは?意味や特徴を解説|一般の墓地との違いと現代の扱い

石職人 T.T.

業界経験この道30年の石職人です。今回は「野墓地とは?意味や特徴を解説|一般の墓地との違いと現代の扱い」について説明します。

野墓地(読み方:のぼち)とは、寺院や霊園の管理下になく、自然の中に存在する墓地のことです。
地方では田んぼや畑の傍らや山間部に広く見られ、現在でも多く存在しております。
現在、都心部では整備が進んでいるため少なくなっております。
この記事では、野墓地の意味や特徴、一般の墓地との違い、最近の扱いについて詳しく解説します。

1.野墓地とは?その意味と歴史


野墓地とは、特定の管理者がいない、あるいは公的な墓地として整備されていない墓地のことを指します。
日本では古くから地域ごとに墓地が形成され、特に山のふもとや集落の近くに自然発生的に作られることがありました。
江戸時代以前は、庶民の多くが寺院の墓地に埋葬されるほか、村ごとに設けられた共同墓地や個人の土地に埋葬されるケースもありました。

2.一般の墓地との違いとは?

現在の墓地の形態は公営墓地、寺院墓地、民営墓地、共同墓地などがありますが、野墓地はその形態とは異なり、以下のような特徴があります。

  • 管理者がいない
    多くの野墓地は特定の団体や行政の管理下になく、地元住民や家族によって維持されることが多い。
  • 埋葬の形式が自由
    墓石を立てる場合もあれば、簡素な土葬(読み方:どそう)や石積みの墓も見られる。
  • 宗教的な中心が少ない
    寺院墓地では宗派に沿った埋葬方法が求められることが多いが、野墓地は比較的自由な形態が多い。

3.現在の野墓地の扱いと課題

近年、野墓地は減少傾向にあります。
その理由として、以下の点が挙げられます。

  • 法律や行政の規制
    墓地の新設には許可が必要となったことで、自由に墓地を作れなくなった。
  • 維持管理の困難さ
    過疎化により、墓守(読み方:はかもり)がいなくなることで荒廃するケースが増加します。
    そのため、墓石の倒壊や雑草の繁茂など、適切な管理がなされていないケースが見られます。
  • 改葬の増加
    跡継ぎのいないお墓は無縁墓(読み方:むえんぼ)となってしまうため、整理されている寺院墓地や公営墓地に改葬(読み方:かいそう)することが必要になる。
  • アクセスが困難
    野墓地は、山林や田畑、私有地など様々な場所に存在することがあります。
    正規の墓地のように計画的に造られていないため、アクセスが困難な場所にあることも少なくありません。

4.今後の野墓地の行方

現代でも野墓地のある地域は多くありますが、都心部では開発が進むにつれ整理され、永代供養墓や合葬墓に改葬される流れが続いています。
無縁墓対策として公営墓地へ移す動きも進んでいます。

5.まとめ

野墓地は、日本の埋葬文化の一端を担っていますが、時代とともにその役割は変わりつつあります。
現在では法整備が進み、個人管理の墓地は減少傾向にありますが、管理が難しく墓守をしてくれる方もいない場合は、改葬や永代供養の選択肢を検討することが重要です。
墓じまい(改葬)を行う際は、早期に墓地の管理者に意向を伝えることが必要です。また、管理者がわからない場合は地域の自治体に問い合わせてみると良いでしょう。