お墓の目地を直すために必要なコーキングや道具とは?|石材店が実際に使う道具を紹介

墓石職人 高橋

業界経験この道30年の墓石職人です。今回は「お墓の目地を直すために必要なコーキングや道具とは?石材店が実際に使う道具を紹介」について説明します。

お墓の目地(読み方:めじ)が剥がれたり、ひび割れているのを見て「このくらいだったら自分で直せるのでは?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
実際、軽度な目地補修であればDIYで対応できるケースもあります。
ただし、お墓は屋外にあり、雨・雪・寒暖差にさらされるため、目地補修は使う材料を間違えると、かえって劣化を早めてしまったり、お墓の景観を損ねてしまうこともあります。

ここでは、石材店である当店「お墓のイシホル」が、実際に現場で使用しているコーキングや道具を中心に「なぜ必要なのか」「どう選べば失敗しにくいのか」を分かりやすく解説します。
「自分で直すか」「業者に依頼するか」を判断する材料としても、ぜひ参考にして下さい。

※当ページには、商品紹介のためアフィリエイト広告が含まれています。
実際の使用感や選定基準は、石材店としての実務経験をもとに記載しています。

1.お墓の目地補修に使われる主な道具一覧

一見するとホームセンターで揃いそうに見えますが、「何でもOK」ではないのが目地補修の難しいところです。
このあとそれぞれの道具について一つずつ解説します。

2.お墓の目地に使うコーキング材の選び方【最重要】

お墓の目地を石材専用のコーキングとガンで施工している画像

2-1. コーキング

お墓のコーキング材は、墓石同士のすき間(目地)に充填する、弾性のあるシーリング材(充填材)のことです。
コーキング材選びを間違えると、どれだけ丁寧に施工しても長持ちしません。

・コーキングを使用する理由

目地をコーキングで塞ぐことで、隙間から雨水が入るのを防ぎ、内部の石やカロート(納骨室)、納めたお骨の劣化を抑えます。
また、コーキングはゴムのような弾性があるため、地震や揺れの際にクッションの役割を果たし、石同士のズレや欠けを防ぐ役割も担っております。

・ホームセンター品との違い

身近なホームセンターでは、ご自宅の建築リフォーム修繕用、水道や水回りの補修用などの様々な用途のコーキング材が販売されており、その性質もシリコン系、変性シリコン系、ウレタン系など多岐に渡りますが、墓石用のコーキング材としては不向きなものも多い為注意が必要です。
墓石の目地には、私たち職人が使用している墓石専用のコーキング材を使用することをお勧めします。

・色選び(黒・グレーなど)

墓石専用のコーキング材の色は主にグレーと黒の2色です。
墓石の色に合わせたコーキング材を使うことで、景観を損なう恐れも無く、自然な見た目を保ちます。

・ストンコークR(黒)

・ストンコークR(グレー)

2-2. コーキングガン|安価なものとプロ用の違い

コーキング材を使うためには、必ずコーキングガンが必要になります。
お墓の目地に使用するのであれば、安価なものでも使えますが、「作業のしやすさ・仕上がりの安定性・耐久性」がプロ用との主な違いになります。
DIYで小頻度で使うのであれば、高価なプロ用でなくても作業は可能です。
極端に安価なものは「押し出しが安定しない」「力が必要で手が疲れる」「目地にムラが出やすい」といったデメリットもあるので注意が必要です。

・作業時の軽さ・握力の負担の軽減

安価な手動ガンは、てこの効きが弱く、粘度が高いコーキング材だと少々強い握力が必要になり疲れやすいです。
プロ用はギア比やレバー形状が工夫されていて、少ない力で一定量を押し出しやすく、長時間作業でも負担が軽いのが特徴です。

・吐出のコントロール性

安価品は「押すとき」と「やめるとき」の制御が荒く、ムラが出たり、指を離しても少しダラダラ出続けて“糸引き”しやすい傾向があります。

・剛性・耐久性

安価品はフレームやシャフトが細く、固い材料を使うとたわんだり、最悪変形・破損することがあります。
プロ用はスチールフレームやしっかりしたホルダーで、粘度の高い材料でも歪みにくく、何度も現場使用に耐える作りです。

「DIY用途なら中価格帯のしっかりしたガンを選ぶのが失敗しにくいです。」

2-3. ヘラ ヘラ仕上げと指仕上げの違い|石材店の実際の施工方法

お墓の目地をコーキングで仕上げる際、ヘラは「充填・ならし・余材除去」のために用いられており、美観と耐久性を両立させるための大事な道具です。
目地の仕上げについては、「ヘラを使う方法」と「指で仕上げる方法」があります。

・ヘラ仕上げと指仕上げの違い

実際のところ、石材店の現場では指で仕上げを行っているところも多いです。
その理由は、長年の経験から「コーキングが目地の奥まで入っていく感覚が指で分かる」「押し込み具合を微調整しやすい」「慣れていれば、ヘラよりも自然で美しく仕上がる」といった点にあります。
指の感覚でコーキング作業を行うにはそれなりの経験と実績が必要になります。

石材店向けのヘラはウレタン製が多く、弾力があり、石を傷つけにくく、コーキングを綺麗に切れるのが特長です。
平面仕上げでは、ウレタンヘラにスポンジを貼り付けてならす方法もあります。
ヘラの先端の形状も様々なものがありますが、コーキングを充填する部分によって使い分けます。
ヘラを使用しての作業は、手をコーキング材で汚さないで仕上げることができるという特徴もあります。
コーキングを目地に適切に充填し、尚且つ綺麗に仕上げるには指仕上げと同様に経験が必要になります。

・指仕上げのデメリットと、DIYでおすすめしにくい理由

一方で、指仕上げには「指にコーキングが強く付着し、拭き取りが非常に大変」「指が届かない部分はヘラで仕上げることになる」といったデメリットもあります。
これらは、長年現場で作業している職人だから調整できる部分でもあります。
DIYや慣れていない方が同じように行うと、「きれいに見えても、実は奥まで入っていない」という失敗も起こりやすくなります。

・初心者・DIYにはヘラ仕上げが失敗しにくい

そのため、DIYで目地補修を行う場合は、仕上げ用ヘラを使う方法をおすすめしています。
ヘラを使うことで、「余分なコーキングを一定量で押さえられる」「目地の形が安定しやすい」「石材や手、衣服を汚しにくい」といったメリットがあります。
プロは指で仕上げることもありますが、失敗しにくさという点ではヘラの方が再現性が高いというのが正直なところです。

コーキングならし用のへらは、身近なホームセンターにも様々な形状や材質のものが販売されております。
DIYで作業する際は、自分に合った作業のしやすいものを様々なヘラを試しながら揃えてみるのも、DIYの楽しみの一つです。

コーキングに失敗したときは、硬化後にカッターやスクレーパーで取り除き、やり直すことが可能です。
やり直す際は、カッターの刃で石材に傷をつけないようにコーキングを剥がすのが大切です。
特に、古い石材には傷がつきやすいので注意が必要です。
無理なく楽しみながら行ってみましょう。

・仕上げに失敗したときは

コーキングに失敗したときは、硬化後にカッターやスクレーパーで取り除き、やり直すことが可能です。
やり直す際は、カッターの刃で石材に傷をつけないようにコーキングを剥がすことが大切です。
特に、古い石材には傷がつきやすいので注意が必要です。


コーキングならし用のへらは、身近なホームセンターにも様々な形状や材質のものが販売されております。
DIYで作業する際は、自分に合った作業のしやすいものを様々なヘラを試しながら揃えてみるのも、DIYの楽しみの一つです。
無理なく楽しみながら行ってみましょう。

2-4. マスキングテープ

マスキングテープは「なくてもできそう」で、実は必須の道具です。
お墓の目地をコーキングで仕上げる際、マスキングテープは「ラインの確保と汚れ防止」のために用いられており、石材の保護や美観を両立させるために必要なものです。

・コーキングが石の表面に広がるのを防ぐ

コーキング材を充填する際、目地の両側にテープを貼ることで、コーキング材が不要な石材まで付着しないよう、はみ出しを防ぎます。

・仕上がりのラインをまっすぐ綺麗に出す

テープの端がガイドになり、ヘラでならしたときに目地の幅やラインが均一に整うため、美観がよくなります。
DIY施工でもマスキングテープで目地の範囲をカバーしてから充填・ヘラ仕上げを行うと、経験が少なくても見た目の良い補修になりやすいです。

・マスキングテープ巾のサイズは?

マスキングテープ巾のサイズは様々で、石材店によっても各々の使いやすい独自のサイズがあると思います。
墓石で使用するマスキングテープ巾のサイズは、狭すぎず、広すぎず、墓石のあらゆる部材で使用できるサイズということで、私は巾18mmのマスキングテープを主に使用しております。
こちらも身近なホームセンターでも販売されておりますので、色々な巾を試してみて、自分に合ったものを探してみるのもDIYの楽しみ方の一つかと思います。

屋外対応・粘着が強すぎないタイプを選ぶのがポイントです。

2-5. カッター(工業用)

カッターは、文房具で使用するような細い形状のものは、刃がすぐに折れてしまい危険です。
墓石にしっかり張り付いた古い目地を綺麗に取り除くには、少々力の入る作業になります。
手のひら全体で握れる、刃の大きい工業用カッターで作業することが必要です。
作業の際には、墓石に傷をつけないように細心の注意を払って、古い目地を取り除きます。

2-6. スクレーパー

スクレーパーは、ヘラ状の刃が付いた汚れなどを削り取るのにも使用する道具です。
お墓の目地を補修する際、古いコーキングや汚れが目地に付着していることが大半です。
新しく目地にコーキングを充填するには、古くなったコーキングや汚れをカッターやスクレーパーで予め取り除かなければなりません。

・古くなったコーキングや汚れを取り除く

古くなったコーキングや汚れが付着していると、新しくコーキングを充填する際に、仕上がりや効果に悪影響を及ぼす恐れがありますので、できるだけきれいに取り除きます。

・スクレーパーを使用する際の注意点

墓石は柔らかく傷つきやすいため、スクレーパーを使用するには細心の注意が必要です。
スクレーパーを30〜45度の角度で持ち、均等な軽い力でスライドさせてコーキングを削ぎます。
墓石に対してスクレーパーの刃を立てたり立てすぎたりすると墓石に傷がついてしまいます。
墓石の石種によっても傷がつきやすい軟質の石材があり、その際はスクレーパーを使用せず、ブラシなどで墓石に傷をつけないように古いコーキング材や汚れを取り除きます。
また墓石表面が磨いているか磨いていないかでも使用方法が異なりますので注意が必要です。

・スクレーパーを使用できないこともあります

目地を施工する方法には、コーキング材を使用する方法と、モルタルで仕上げる方法があります。
現在では最も主流な施工方法がコーキング材で目地を仕上げる工法ですが、それ以前はモルタルで目地を仕上げる工法が主な時代がありました。
古いお墓はモルタルで目地仕上げを行っているものも多く、古いモルタル目地はスクレーバーでは取り除くことができませんので注意が必要です。

2-7. 平タガネ(モルタル目地のハツリに使用)

・モルタル仕上げの古い目地を取り除くには

モルタル仕上げの目地は硬く墓石に張り付いてる場合があります。
墓石に張り付いた硬いモルタル目地を取り除くには、「平タガネ」と「小型ハンマー」の道具を使用して剥がす作業(ハツリ作業)をしなければなりません。

・平タガネと小型ハンマーの使用方法

目地の溝に平タガネの先端を差し込み、タガネの頭を小型ハンマーで軽く叩きます。
一度に深く砕こうとせず、少しずつ削り取っていく感覚で叩きます。
目地に沿ってタガネを移動させ、同じ作業を繰り返します。少しづつ剥がしていきます。
ある程度剥がれたら、残った細かなモルタルをタガネの先端で取り除きます。
墓石に当たらないよう細心の注意を払ってハツリ作業を行います。

平タガネは、刃先巾や全長に様々なサイズがありますので、目地巾のサイズに合った使いやすい平タガネを探してみるのもDIYの楽しみの一つです。

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2-8. 小型ハンマー(モルタル目地のハツリに使用)

・タガネの頭を叩く小型ハンマー

タガネの頭を叩くのに必要なハンマーです。
大きすぎず小さすぎずの適度なサイズのハンマーを選びます。
目地に沿ってタガネを移動させ、タガネの頭を小型ハンマーで軽く叩きます。
石材に傷がつかないよう、少しづつ剥がすよう心がけます。

タガネの頭を叩く以外にも、釘抜きなどにも使用できる小型で使いやすいハンマーです。

2-9. ロールウエス(使い捨て)

ロールウエスはコーキング作業工程の中の余分なコーキング材をふき取るのに使用します。
使用する工程は、目地にマスキングテープを貼り、コーキング材を充填した直後にヘラや指でコーキング材をならすのですが、そのときに余分なコーキングがヘラや指に付きます。その余分なコーキング材を拭き取るのに使用します。
これには使い捨ての安価なものでも十分ご使用できます。

2-10. 目地清掃用ブラシ

目地清掃用ブラシは、古くなったコーキングや汚れをカッターやスクレーパーなどで取り除く際に出る細かい削りカスを掃くのに使用します。
目地に削りカスが残っていると、コーキングの仕上りに影響を及ぼしますので、コーキングを施すところは、古いコーキングやモルタルが残らないよう綺麗に掃除をしなければいけません。
ご家庭に隙間を掃くのに使用する小型のブラシなどがありましたら、十分代用も可能です。

2-11. 清掃用バケツ

古くなった目地を取り除く作業を行うと、屋外の環境なことから、目地周りの他、お墓全体に細かいチリゴミが散らかってしまうことがあります。
お墓全体を掃除できるご家庭でも使用するようなバケツ・雑巾・ホウキ・チリトリがあると便利です。

清掃用の道具はご家庭にあるもので十分ご利用いただけます。
バケツは小さなものより大きなものの方が、道具を入れて運ぶこともできますので便利です。

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2-12. 清掃用雑巾

雑巾は、古くなった目地を取り除く作業に伴う細かいチリゴミを拭き取るのに使用します。
また、墓全体に細かいチリゴミが散らかってしまうことがありますので、ホウキやチリトリを使ってチリゴミを取り除いた後、雑巾で拭きあげます。

清掃用の道具はご家庭にあるもので十分ご利用いただけます。

2-13. ホウキ・チリトリ

ホウキとチリトリは、古くなった目地を取り除く作業に伴う細かいチリゴミ掃き取るのに使用します。
屋外の作業ですので、お墓全体に細かいチリゴミが散らかってしまうことがありますので、ホウキやチリトリで取り除きます。
作業前より作業現場が綺麗に保つよう心がけましょう。

清掃用の道具はご家庭にあるもので十分ご利用いただけます。

3.DIYでの目地補修が向いているケース・向かないケース

DIYで対応しやすいケース

目地補修で、DIYで対応しやすいケース
  • 目地の一部が軽く剥がれている
  • 幅が狭く、深さも浅い
  • 応急処置として補修したい
  • 石のズレがなく、均等巾に目地が開いている

この様な場合でしたら、適切な道具を使うことでDIYも可能です。
画像のように目地に雑草が生えている場合でも、引き抜いて、根から取り除きます。

石材店に依頼した方がよいケース

石材店に依頼したほうがよいケース。目地が開いて中に石が入り込んでいる。
石材店に依頼した方が良いケース。基礎が不安定で、目地が開き、石がズレている。
  • 目地全体が劣化している
  • 石と石のズレが見られる
  • 目地が広く、雨が内部まで入り込んでいる

これらのケースは、見た目以上に内部で問題が進行していることもあります。

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4.石材店が実際に見てきた、よくある失敗例

お墓の目地コーキング 失敗例

長年現場で見てきて、特に多い失敗が次のようなケースです。

  • 墓石に適さないコーキング材を使用して数ヶ月で剥がれた
  • マスキングテープを使用せず、仕上げもしていないため表面が波状になっている
  • 目地の奥まで入らず、目地が下がり、凸凹に汚く仕上がっている

どれも、技術はさることながら「道具選び」「下準備不足」が原因でも起きていると考えられます。

正しい道具を使うことは、
仕上がりだけでなくお墓を長持ちさせることにもつながります。

5.まとめ|道具選びが、お墓の目地補修の仕上がりを左右します

お墓の目地補修は、「コーキングを打てば終わり」ではありません。

  • 石材に適したコーキング材
  • 使いやすいコーキングガン
  • ヘラ・マスキングテープなどの仕上げ道具

これらを正しく選ぶことで、DIYでも失敗しにくく長持ちする補修が可能になります。

一方で、少しでも不安を感じる場合や、劣化が進んでいると感じた場合は、無理をせず石材店に相談することも大切な選択です。


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