お墓の目地補修をDIYで行う手順|石材店が写真付きで解説


業界経験この道30年の墓石職人です。今回は「お墓の目地補修をDIYで行う手順|石材店が写真付きで解説」について説明します。
お墓の目地がひび割れたり、剥がれているのを見ると、「自分で直せるのでは?」と考える方も多いと思います。
実際、軽度な目地補修であればDIYで対応できるケースもあります。
ただし、やり方や道具を間違えると、数ヶ月で再び剥がれる・石を傷める・お墓の景観を損ねるといったことも起こります。
ここでは石材店である当店「お墓のイシホル」が、現場の実務をもとにした“失敗しにくい手順”を解説します。
目次
1.DIYで補修できる目地・できない目地
「隙間埋め」はDIYで可能ですが、「石がズレている・傾いている・欠けている場合の目地」はDIYでは難しいので、石材店案件と考えた方が安全です。
1-1.DIY向きの場合

次のような状態でしたら、墓石専用のコーキング材を使ったDIY補修が可能とされています。
- 目地の一部が軽く剥がれている
- 一部の短い区間だけの部分補修で済む状態
- 目地の幅が狭く、深さも浅い
- 応急的な補修
この程度であれば、古い目地を削り取って掃除し、墓石用の耐震コーキングボンドで目地を打ち直す、という方法で個人施工も可能です。
判断に迷う場合は無理をしないことが大切です。
1-2.業者向きの場合

以下のような場合は、見た目は「目地の問題」に見えても、内部や構造に関わるためDIYは避けた方がよいとされています。
- 目地の剥がれが複数箇所・広範囲に及んでいる
- 石がズレている、傾いている
- 目地から雨水が入り込み、内部モルタルの劣化やカビ・苔・汚れが広がっている
- 石が欠けている、割れている部分を伴う目地
- 外柵や土台石など、高さがあり、万一倒れると危険な部材の継ぎ目
- 古い大きなお墓で、分解や据え直しが必要になりそうなケース
こういった状態では、見かけだけをコーキングで埋めても根本解決にならず、転倒リスクや後々大掛かりな修理になる可能性が高いと注意されています。
2.作業前に準備する道具一覧
お墓の目地補修(目地のひび割れ・欠け・剥がれ補修)は、仕上がりの美しさや耐久性に直結する作業です。
道具の選び方を間違えると、仕上がりが雑になったり、補修材がうまく密着しなかったりします。
プロも使用している道具を参考にするのも失敗しないコツの一つです。
3.古い目地の清掃と下地処理
お墓の目地補修では、「古い目地をどこまで取るか」と「新しいコーキングがよく付く下地を作るか」が一番大事です。
古い目地(コーキングやモルタル)の撤去
- カッターやスクレーパーなどで、目地の古いコーキングをできるだけ取り除きます。
- 目地が古いモルタルの場合は、タガネや細めのマイナスドライバーで取り除きます。
- 石を傷つけないように、力を入れすぎず少しずつ削ります(無理にこじると墓石の欠けの原因になります)。
- 取り切れない薄い残りは、カッターなどで「浮いている部分・粉っぽい部分」だけを落とし、しっかり固着している部分は無理に深追いしないでください。
- 古いコーキングが厚く残ると新しい厚みが確保できず、再劣化しやすくなりますし仕上りにも影響を及ぼす恐れがあります。
- 撤去後に、指で触って「ベタつく・ボロボロ崩れる」部分があれば、そこはさらに取り除いておきます。
目地部の清掃方法
- 古い目地を取ったら、まず刷毛・ブラシで粉塵やカスをしっかり掃き出します。
- そのあと、濡らして固く絞ったウエス(使い捨て布)やスポンジで、目地の中と周囲の石を拭き、細かいホコリ・汚れを取ります。
- 必要に応じて、中性洗剤を薄めた水で軽く洗っても良いが、墓石用でない酸性・塩素系の洗剤は使わないでください。
- 最後にきれいな水で洗い流したら、タオル・スポンジで水分をできるだけ拭き取り、完全に乾燥させるとよいです(天気の良い日なら半日以上おくと安心です)。
撤去時の注意
作業の際は以下のことに注意しましょう。
4.マスキングテープの貼り方
お墓の目地補修で仕上げを美しくするため、マスキングテープの貼り方は目地から1〜2mm離すのが基本的なコツです。
これによりコーキング剤のならしがしやすく、シャープなラインが得られます。
この工程で仕上がりの8割が決まるといえます。
貼り方手順
コーキング充填後の剥がし方
コーキングを充填し、ヘラ仕上げ後、基本的には直後(数分以内)にマスキングテープを剥がすのが鉄則です。
完全に乾く前に素早く剥がすとエッジが美しく保てます。
注意点
コーキング剤は墓石専用のものを使用しシリコン系は避けます。
マスキングテープは、剥がし時にテープが破れないよう気を付けながら、コーキングの状態を見ながら素早く剥がします。
5.コーキングの打ち方(失敗しにくいコツ)
お墓の目地補修でコーキングを打つ際は、事前の掃除とマスキングテープの使用が失敗を防ぐ鍵です。
墓石用コーキング材を使い、急がず丁寧に作業することできれいに仕上がります。
コーキングガンで目地に充填し、奥までしっかり押し込む。
墓石用コーキング材は硬化が速いので、少しずつテープを貼って打ち、作業を分けて進めるのが失敗しにくい方法です。
コーキング作業は、一気にやろうとせず、短い距離を確かめながら進めることも大切です。
コーキングガンの動かし方
墓石の目地にコーキングを打つ際は、一般的にガンを「引く(引き打ち)」のが基本です。
ノズルを進行方向に向け、手前に引きながらコーキング材を注入していきます。
コーキング材が目の前に溜まっていくため、目地の中の奥までコーキング材がしっかり充填されやすく、均一な量で打ちやすくなります。
コーキング材は、目地の隙間から少しはみ出るくらい、多めに注入するのがコツです。
ノズル先端のカット方法
コーキングノズルの先端のカットの仕方は、基本、「カッターで、斜め45度にカット」です。
ハサミよりも、鋭利なカッターナイフを使用する方がきれいに切れます。
ノズルの先端に対して約45度の角度で斜めにカットしますが、この角度が墓石の目地にノズルを当てやすく、奥までコーキングをしっかり充填できる角度です。
カット位置(穴の大きさ)
目地の幅に合わせてカットする位置を決めます。
基本的には、目地の幅より少し小さめになるように先端1cm位の場所を切り落とすのが目安です。
墓石の目地幅は一般的に6mm〜9mm(2分〜3分)程度が多いため、それに合わせて微調整します。
最初は先端を小さめにカットし、目地に合わせて少しずつ穴を広げることも失敗しないコツです。
6.ヘラ仕上げ
お墓の目地コーキングをヘラで綺麗に仕上げるポイントは、「事前準備・ヘラの当て方・スピードと回数」の3つを押さえることです。
事前に必ずやること
目地の中の古いコーキング・ホコリ・水分を完全に取り除き、乾いた状態にすることが大前提です。
目地両側の石にマスキングテープを貼り、目地から約1〜2mm外側に離して貼ると、ラインがまっすぐで美しく出ます。
へらの使い方の基本
へらは目地に対して少し角度をつけ、押し付けるようにして、コーキングを「奥へ押し込む」意識でなぞります。
力加減は「入れ過ぎず・弱過ぎず」の中間で、軽くしなりを感じる程度が目安です。
綺麗に見せるための動かし方
ゆっくり何度もなぞると波打ったりムラが出るので、「一気にサッと」一定の速さで通すことが大切です。
同じ所を何度も触らず、「1〜2回で決める」つもりで仕上げると表面がフラットになり綺麗に見えます。
コーキングを打ちながら整えるコツ
慣れないうちは、少し打っては短い区間ごとにへらでならす、というふうに「充填とならしを小刻みに交互」に行うと失敗しにくいです。
ただし、長い直線はできるだけ途中で止めずに一気に通した方がラインが真っ直ぐで綺麗になります。
へらとマスキングテープの扱い
ヘラについた余分なコーキングは「毎回、使い捨てロールウエスなどで拭き取る」ことで、次に引いたときのスジやダマを防げます。
拭き取りは、新聞紙や雑誌、電話帳など(使わなくなったもの)で拭き取ることもできます。
長い直線はできるだけ途中で止めずに一気に通した方がラインが真っ直ぐで綺麗になります。
ヘラでならし直後、コーキングがまだ濡れているうちにマスキングテープを剥がすと、端部のラインがシャープに出ます。
30〜40cm程度の直線を一度にコーキングを打ち、ヘラを少し立て気味にして一気に端まで通し、すぐにテープを剥がすと、プロに近い見た目になります。
7.乾燥時間
お墓の目地補修でコーキングを打つ際の乾燥時間は、使用する材料や天候により異なりますが、おおよその目安としては以下の通りです。
表面硬化(触れてベタつきがなくなる目安):約 30分〜1時間前後
初期実用強度(作業後の日常負荷に耐えるレベル):約 6〜8時間
完全硬化(最終強度・性能発揮):約 8時間程度(20 ℃条件)
※硬化時間は気温・湿度・充填量・目地幅によって変動します。寒冷条件ですと遅く、暖かい気候だと短くなる傾向があります。
作業後24時間以上は触れず放置し、雨を避けましょう。
8.DIYが不安な場合は無理をしない

目地補修は簡単そうに見えて、実は石材の状態を読み、補修する部材に対応できる経験が必要です。
画像のようにうまくいかない場合もあります。
お墓の目地補修でコーキングをDIYするのが不安な場合、無理をしない方が安全です。
主な理由は、施工ミスによる墓石のさらなる損傷や転倒リスクの高まり、専門知識の不足からです。
下地処理を怠ったり、墓石専用でないコーキング剤を使ったりすると、水の浸入を防げず内部にカビや凍結膨張が発生し、墓石の劣化を加速させることがあります。
マスキングテープの不使用や、ならし不足で見た目が悪くなり、密着不良から早期剥離することがあります。
その結果、補修費用が高額化する可能性もあります。
不安を感じていることがあればプロに依頼し、適切な耐震ボンドなどで長期耐久性を確保しましょう。
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